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教授挨拶

鹿児島大学
放射線科
教授吉浦 敬
吉浦敬教授

  放射線医学には、放射線診断学と放射線腫瘍学が含まれます。当教室では昭和18年の開講以来、その両者について研究、臨床、教育を行ってきました。
これからも、放射線医学全般をしっかりカバーし、社会に貢献できるバランスのとれた教室を運営して行こうと考えています。
コンピュータ断層撮影(CT)や磁気共鳴画像(MRI)、ポジトロンCT(PET)などの画像診断は、現代の診療では欠くことのできない基本的な要素ですが、これらを自在に駆使し、得られた画像から必要な情報を導き出すには放射線診断医の専門的な知識が必要です。一方、治療の分野では、インターベンショナル・ラジオロジーや放射線治療が、低侵襲治療の選択肢として、ますます重要度を増しています。これらを通して、診療各科、ひいては病院全体の機能を支えることが、放射線科医の仕事ですが、増え続ける需要に対して人材の供給が追い付いていないのが現状です。放射線診断と放射線腫瘍学は、いずれも科学技術の進歩と共に急速に発展してきました。
最新の画像診断技術により、これまで画像として捉えられなかった組織内の構造やさまざまな機能を観察できるようになってきました。また画像の解釈についても、コンピュータによる、より効率的で客観的な手法の導入が試みられています。検査における被ばくの低減など、さらなる低侵襲性の追求も進められています。
放射線腫瘍学の分野では、粒子線治療が導入されるとともに、画像にもとづく精密な照射技術が応用され、次世代の放射線治療に向けて、前進しつつあります。このように、放射線医学の分野では、まだまだ切り開いて行かなければならないフロンティアが広がっています。
当教室でも、MRIやCTにもとづく新しい画像診断法の開発をはじめ、さまざまな先端診断・治療技術の開発とその臨床応用に取り組んでいます。
当教室で共に学び、鹿児島、さらには日本、世界をリードする意欲溢れる放射線科医が育つことを心から念願しています。

沿革

歴史

1943年(昭和18年)
県立鹿児島医学専門学校設立。
1958年(昭和33年)
放射線科国立移管。
1974年(昭和49年)
鹿児島大学医学部及び附属病院、桜ヶ丘に移転。
2003年(平成15年)
独立行政法人化され、現在に至る。

歴代教授

初代縄田千郎(昭和18年~昭和43年)
主な業績:胃・十二指腸・胆嚢疾患、肺結核、珪肺、肺吸虫症、肺癌特にシベリア珪肺症に関する研究論文数  約110編
第二代篠原慎治(昭和43~平成2年)
主な業績:食道癌、肝臓癌、副腎疾患特に食道癌のX 線診断に関する研究論文数  約450編
第三代中條政敬(平成3年~平成25年)
受賞:第24回日本核医学会員賞受賞(第18回マリンクロット賞)[昭和62年10月]
主な業績:副腎皮質シンチグラフィに関する研究 副腎髄質シンチグラフィに関する研究 MIBGに関する基礎的、臨床的研究 131I-Lipiodolの肝癌治療への応用に関する基礎的研究 131I-IMPの肺疾患への応用に関する研究 アルドステロノーマのアルコール塞栓術に関する研究 特に副腎の画像診断とIVRに関する研究。 論文数  約470編

出張病院・派遣医師一覧

鹿児島市立病院

中山 博史(なかやま ひろふみ)

中村 文彦(なかむら ふみひこ)

永里 耕平(ながさと こうへい)

日髙 誠也(ひだか せいや)

大瀬 新(おおせ あらた)

中別府 良昭(なかべっぷ よしあき)嘱託医

県立大島病院

鐘撞 一郎(かねつき いちろう)

阿久根 健太郎(あくね けんたろう)

山田 千裕(やまだ ちひろ)

県立薩南病院

原田 治(はらだ おさむ)

国立病院機構 都城医療センター

日野 祐一(ひの ゆういち)

新村 耕平(しんむら こうへい)

国立病院機構 鹿児島医療センター

井手上 淳一(いでうえ じゅんいち)

上山 友子(うえやま ともこ)

佐竹 有貴(さたけ ゆき)

社会福祉法人 恩賜財団 済生会川内病院

長谷川 知仁(はせがわ ともひと)

郷原 未沙伎(ごうはら みさき)

小野原 信一(おのはら しんいち)嘱託医

川内市医師会立市民病院

三木 徹生(みき てっしょう)

公益社団法人昭和会 いまきいれ総合病院

鉾立 博文(ほこたて ひろふみ)

桑水流 絵梨奈(くわづる えりな)

増田 敬子(ますだ けいこ)

公益社団法人鹿児島共済会 南風病院

南立 亮(なんだて とおる)

神宮司 メグミ(じんぐうじ めぐみ)

上野 いづみ(うえの いづみ)

増田 敬子(ますだ けいこ)

鹿児島厚生連病院

上野 和人(うえの かずと)

霧島市医師会医療センター

藤崎 陽介(ふじさき ようすけ)

上村 尚大(かみむら よしき)

メディポリス国際陽子線治療センター

有村 健(ありむら たけし)

医療法人青仁会 池田病院

宮川 勝也(みやがわ かつや)

向井 晶絵(むかい あきえ)

研究内容

受賞

留学だより

中條 正豊

 2015年4月1日~2016年3月22日まで、ドイツのWurzburg大学医学部核医学・分子イメージングの樋口隆弘教授及び主任教授であるProf. Dr. Andreas Buckのもとに留学させていただきました。
 核医学診療講座には、Buck主任教授の他に核医学専門医2人、レジデント8人の合計11名の医師が所属しています。また私を含め、日本人医師3人が留学していました。
私はかねてから留学してみたいと思っており、話をいただいた時、こんなチャンスはそうないと思い切り、新居と借金を日本に残し、不安と期待のいりまじった気分でドイツへと向かいました。
 ドイツ語は全くできなかったですが(1年間のドイツ留学の成果として、結局ドイツ語能力は娘たちに遙か及ばずに終わりました)、上に述べました様に日本人スタッフが多い研究室で、ドイツ人は英語もよく通じるため、言葉の面での苦労は少なくてすみました。
 2015年4月~8月の期間は、心臓疾患を中心とした動物PET研究に携わらせていただき、2015年9月~2016年3月の後半は核医学診療を研修するという形で研修させていただきました。
 今回は、Wurzburg大学の核医学診療について報告させていただきたいと思います。

<PET検査>

PET検査についてですが、PET/CT装置は1台で、主に18F-FDG PET検査が1日10~15件行われていました。また、毎日1~3件ずつ18F-FDG以外の核種を用いた特殊腫瘍PET検査も臨床研究として行われていました。
 今年、日本でも111In-pentetreotide(オクトレオスキャン)がソマトスタチンレセプターイメージングのSPECT製剤として保険適応となりましたが、Wurzburg大学においては同PET製剤である68Ga-DOTATOC PET/CTが、神経内分泌腫瘍の診断、治療効果判定に用いられていました。
 その他、前立腺癌の転移巣診断目的に68Ga-PSMA PET/CT、ケモカイン受容体(CXCR4)イメージングである68Ga-CXCR4 PET/CT検査が、神経膠芽腫の検出や小細胞肺癌患者における遠隔転移診断に用いられていました。

<RI治療>

Wurzburg大学においての核医学治療の大半は、我々と同様に甲状腺癌の再発、転移巣治療を目的とした131I治療です。複合部屋、単独部屋を含めて最大14名が入院患者として受け入れられる体制が整えられ、年間約800例の核医学治療が行われております(当院の入院治療は、年間約30例です)。他に、神経内分泌腫瘍患者において、β線放射核種である177Lu-DOTATOCを用いた内照射治療、前立腺癌転移患者における177Lu-PSMAを用いた内照射治療、多発性骨髄腫患者における177Lu-CXCR4を用いた内照射治療も行われていました。

 このように同大学を含めて欧州での腫瘍核医学の分野では、診断用RI標識化合物で画像検査(Diagnosis)を行い、治療可能と診断された場合には、治療用RI標識同化合物で癌治療(Therapeutics)を行うというTheranosticsという概念が主流になりつつあります。このような核医学診療で世界トップクラスの実績を有するWurzburg大学において、癌診療の知識を習得し得たことは、今後の研究や診療、教育に役立つものと考えています。また、留学中においての研究室の仲間との出会いもこれからの人生において、大変貴重なものであると思っております。

 留学は異国の地で生活する大変さはありますが、学問のみならず、人生勉強にもなると思います。若い先生方にはチャンスがあれば是非、留学をしていただきたいと思っています。

マルクト広場

 マルクト広場

樋口教授と(右端から2人目)と研究員達

 樋口教授(右端から2人目)と
 研究員達

ビュルツブルグの町並み

 ビュルツブルグの町並み

受賞について

鹿児島大学
放射線科
中條 正豊

2022年度(第61回)日本核医学会賞にあたり

この度、2022年度(第61回)日本核医学会賞を受賞いたしました。
このような名誉ある賞を受賞でき、大変うれしく思います。
本賞を受賞するにあたり、吉浦 敬 教授ならびに中條 政敬 名誉教授を初め、これまでご指導頂いた先生方に深く感謝申し上げます。今後とも日本核医学の発展のために尽力していきたいと思います。

中條 正豊
いまきいれ総合病院
放射線診断科
藤崎 陽介

  第80回日本医学放射線学会総会にてCyposs ゴールドメダル賞を受賞させていただきました。

<受賞発表>

Detection of small PDAC with dual-layer spectral CT : Value of adding virtual monoenergetic imaging to conventional polyenergetic imaging
Yosuke Fujisaki, Yoshihiko Fukukura, Yuichi Kumagae, Masanori Nakajo, Koji Takumi, Hiroaki Nagano, Fumitaka Ejima, Takuro Ayukawa, Shinya Nakamura, Takashi Yoshiura Department of Radiology, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Japan.
本発表では、小型膵管癌の検出において、コンベンショナルCTと仮想単純X線画像(VMI)を併せて読影することにより、小膵管癌の早期発見が可能となり、予後を改善させる可能性を示しました。
本発表を行うにあたりご指導頂いた福倉先生をはじめ、熊谷先生、吉浦教授、他の先生方に感謝申し上げます。
鹿児島大学
放射線科
内匠 浩二

  RSNA2019でCertificate of Merit賞ならびにRSNA2020でCum Laude賞を受賞させて頂きました。

<受賞演題>

RSNA2019 Non-primary head and neck lesions: imaging feature of metastasis to head and neck and differential diagnosis
(頭頸部領域における非原発性病変:頭頸部領域への転移性病変の画像所見と鑑別診断)
Takumi K, Andreu-Arasa VC, Rai A, Ito K, Fujima N, Bedi H, Sakai O
RSNA2020 Imaging features of drug-associated changes in the head and neck (頭頚部領域における薬剤起因性変化についての画像所見) Takumi K, Nagano H, Fukukura Y, Kumagae Y, Nakajo M, Kamimura K, Kawashima Y, Indo H, Yoshiura T.
北米放射線学会(RSNA)のEducation Exhibitにて2019年度にCertificate of Merit 、2020年度にCum Laudeを受賞することができました。それぞれ頭頚部領域での画像診断に関する報告で、2019年度は頭頚部に発生する転移性病変に関してそのメカニズムや出現頻度、好発部位,鑑別疾患をまとめ、2020年度はさまざまな薬剤の副作用によって生じる画像所見や鑑別疾患を口腔領域や咽喉頭領域、甲状腺、耳下腺など臓器ごとにまとめました。近年では免疫チェックポイント阻害剤も含めた新規薬剤に起因するさまざまな変化も報告されており、それらの知識は誤診の回避や病態の把握には重要と考えます。Education Exhibitは臨床業務のなかで経験したことや疑問に思ったことをまとめる良い機会であり、まだ試行錯誤中ではありますが、2年連続でこのような賞を頂き今後の読影業務や研究活動への励みとなりました。
最後に、本発表にご協力、助言頂きました先生方には、この場をお借り致しまして御礼申し上げます。
RSNA2019

 RSNA2019

RSNA2020

 RSNA2020

鹿児島大学
放射線科
中條 正豊
中條 正豊

  第76回日本医学放射線学会にて第29回優秀論文賞を受賞させていただきました。

<受賞論文>
Nakajo Masatoyo, Nakajo M, Nakayama H, Jinguji M, Nakabeppu Y, Higashi M, Nakamura Y, Sato M, Yoshiura T. Dexamethasone suppression FDG PET/CT for differentiating between true- and false-positive pulmonary and mediastinal lymph node metastases in non-small cell lung cancer: A pilot study of FDG PET/CT after oral administration of dexamethasone. Radiology 279(1);246-253, 2016.
本研究では、FDG-PET/CTによる非小細胞肺癌のリンパ節転移診断において、dexamethasone負荷により肺門、縦隔リンパ節への偽陽性集積が減少する傾向にあることを明らかにし、非小細胞肺癌のリンパ節転移診断においてdexamethasone 負荷FDG-PET/CTが有用である可能性を示しました。
本研究を行うにあたり中山先生、中別府先生、神宮司先生方を初めとする医局員の先生方に御協力いただき、誠にありがとうございました。
本論文を執筆するにあたり御指導頂いた吉浦教授に感謝申し上げます。

教室行事

準備中…

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